So-net無料ブログ作成
前の5件 | -

吹上奇譚 神様のお恵み 冥途のお客 [本]

最近読んでいた本です。


吹上奇譚 第二話 どんぶり

吹上奇譚 第二話 どんぶり

  • 作者: 吉本 ばなな
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本

オカルトっぽいホラーっぽい要素が入った話。著者はこういう話を書くのが夢だったみたいだけど、私にはちょっと不満。こんな要素はいらないなあと思った。このシリーズ続くんだろうか?でも彼女の作品に共通する気持ちが優しくなれる雰囲気みたいなものは失われてはいなかった。今回の作品でちょっと違和感を感じたけれど、それでもまた読み続けるんだろうなあ、吉本ばななを。



神さまのお恵み

神さまのお恵み

  • 作者: 佐藤 愛子
  • 出版社/メーカー: 青志社
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 単行本
冥途のお客

冥途のお客

  • 作者: 佐藤 愛子
  • 出版社/メーカー: 青志社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 単行本

楽天道

楽天道

  • 作者: 佐藤愛子
  • 出版社/メーカー: 海竜社
  • 発売日: 2018/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

それぞれに発売されたのが去年なので佐藤愛子の新刊なのだと思ったら違いました。それぞれ15年前、26年前、9年前に既に刊行されたものを復刊したものでありました。内容は上2冊が幽霊の話にまつわることで、まだそんなに売れていなかった江原啓之や美輪明宏に佐藤愛子が相談したりして、また亡くなった遠藤周作が出てきたりします。江原啓之と佐藤愛子が電話中に、亡くなっている遠藤周作が佐藤愛子の家に現れ、生前二人の間で早く死んだ人はあの世が本当にあるのかないのかを生きているものに知らせるという約束をしていたのですが、早く死んだ遠藤周作が佐藤愛子に本当にあの世はあったと、江原啓之を通じて伝えてきたのです。何だかとっても楽しくなるエピソードでした。実は私も母と同じような約束をしたことがあり、母はもう30年以上も前に亡くなっていますが、それを知らせには全然来てくれていないなあと思い出しました。でもやはり江原啓之のような人が身近にいない限りはそれを知ることは難しいのかもしれません。

また沖縄グラスの中に入っていた悪霊のために具合が悪くなる話が出てくるのですが、沖縄グラスは昔のガラスを砕いて再利用するために戦時中のものも紛れていることもあるそうです。私もいつだったかとってもきれいな沖縄グラスの器を頂いたのですが、1回使っただけですぐに壊してしまい大変もったいないことをしたと思っていたのですが、もしかしたら却ってそれが良かったのかもなあと思ったりしました。


一番下の本は、佐藤愛子が50歳ごろから70歳ごろに書いたエッセイを編集者がまとめたもので、負けん気の強い佐藤愛子節が読み取れます。

年配者向けを意識してなのか、本の活字がとっても大きくてそれぞれあっという間に読めてしまいました。

nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:

貧困大国アメリカ [本]

最近読んでいた本です。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/01/22
  • メディア: 新書
ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/21
  • メディア: 新書
(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 新書

貧困層は更なる貧困層へ。中間層は貧困層へと転落し、急激に社会は二極化へと進む。1パーセントの富裕層たちが99パーセントの貧困者を食い物にする。そのシステムが社会の中に組み込まれている。


怖い本でした。ジャーナリスト堤未果さんの本は読み応え十分でした。

例えばフードスタンプをもらう貧困層は安い加工食品しか買えないため、ますます肥満となります。そして貧困層が増えれば増えるほど寡占状態の大手何社かが潤い、ぼろもうけををするシステムができあがっています。


医療業界も同じ。保険会社と薬業界のぼろもうけシステム。医療費が高くて払えない人たち、また医療費を払っていても指定された病院と治療しか受けられないことがままあり、一度病気になっただけでローン地獄にはまる人たちがたくさんいます。医師たちもまた効率主義に追い詰められ廃業せずにはいられない医師が出てきています。


世界中のワーキングプアを集めて民営化された戦争が行われていたともいいます。フィリピン、ネパール、インドから良い稼ぎになると集められてい来た人々。しかし実際現地(戦場)に派遣されると医療サービスもなく動物以下の扱いを受け、既に仲介業者に大金を支払ってきているため帰国するにも帰国できません。それぞれの国がアメリカ国防省に訴えても、派遣会社が何層にも複雑になっているためなかなか調査には至らなったといいます。(しかしここの派遣会社の大元は、ブッシュ政権時代の副大統領チェイニーがCEOをしていたハリバートン社であったと本書では言っています)


効率主義と拝金主義が相まって、企業はますます大きくなり、国を越えてグローバル化し、多国籍企業となります。その多国籍企業の1パーセントが残り99パーセントをこれでもかと利益をむしり取るのです。

それはもはや公的事業であるはずのものを民営化することでますますひどくなっています。


ハリケーンカトリーナを襲った貧しい南部地域は学校までが民営化となり、貧しい子供たちが学校に通うことができなくなる事態にまでなりました。経済効率の名のもとに、教育の平等な機会まで奪われました。


刑務所も民営化されています。囚人は入るときから既に借金づけ。訴訟費用や罰金などに加え、法廷手数料やら囚人基金の積立金など様々な請求がなされるという。そして多くの企業が法外な安い賃金で囚人を使い、働かせています。そして多くの利益を得ているのです。


借金づけの人々は囚人だけではありません。学生たちも同じです。学費が高くて払えないため学資ローンを組みますが、どんなに働いても安い賃金ではローンを返済できません。兵士へのリクルートもありますが、これもまた地獄です。十分な学費がでないことが後からわかるため、無理なアルバイトを重ねて結局払えず大学は諦めます。また軍隊に何とかずっと入隊していても、戦地に送られ負傷し、精神的にも病んで帰国することもままあり、軍病院で治療したくても治療は10カ月から1年以上待たされることも多いといいます。


他にも農場が巨額の資金に買い取られ、ほとんどの利益が企業に吸い取られる話。またイラク、インド、アルゼンチン、ハイチの中小農家で行われた遺伝子組み換え食品への転換によって中小農家が苦しくなり自殺にまで追いやられる話。消防署、警察署、公園など公的なものが民営化することでなくなり、世界一危険な街になったデトロイトの話。政治もマスコミもすべて巨大資本に買われてしまい、立法府までも企業の言いなりで法までも企業のいいようになる現状の話など、本当に酷い話がたくさん載っていました。


ただ1パーセントに対して99パーセントも黙ってはいません。ある時大手銀行バンク・オヴ・アメリカから預金を地元の銀行へ移し替えようとフェイスブックで訴えた匿名の人がいて、7万人が賛同し80億ドルものお金が預金先を変えるという運動が展開したといいます。国民の税金で助けられたバンク・オヴ・アメリカが一方的に預金額2万ドル以下の顧客に月額5ドルの使用料を課すということへの抗議であったというのです。また企業献金を一切受け取らない議員候補者を立てたオリーブの木連合は、大企業の政治支配を止めることに一役買ったといいます。


最後の話が少し希望に思えホッとしました。

しかしこの多国籍企業による莫大な富、黙っていても儲かるこの仕組みを何とか解体したい。そのためには上に書いた匿名の人が行ったような、99パーセントの人が一致団結して独占や寡占の企業に対して大いにものを申していくしかないのだなあと思います。

nice!(11)  コメント(1) 
共通テーマ:

ラブレターズ、アメリカ居すわり一人旅など [本]

最近、読んでいた本です。


ラヴレターズ (文春文庫)

ラヴレターズ (文春文庫)

  • 作者: 川上 未映子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: 文庫

テーマが決められ、たくさんの人によって書かれたものを集めた本。普通この類のものは作家が書いたものを集めているのに、この本は作家のみならず執筆者は、俳優(二階堂ふみ・長塚京三・松尾スズキ)、映画監督(西川美和・砂田麻美)銅版画家(山本容子)、タレント(壇蜜・小島慶子)、ジャズピアニスト(山中千尋)、歌人(俵万智)などちょっと変わった面々。吉本ばななや横尾忠則、川上未映子、村田紗耶香、島田雅彦、岩下尚史なども書いていてますが、やはり基本的には作家が書いたもののほうが文章としても読みごたえがあるなあと思いました。まあ好みでもありますが。


アメリカ居すわり一人旅 (角川文庫)

アメリカ居すわり一人旅 (角川文庫)

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 文庫


この2月に出たばかりの本なので、つい最近著者がアメリカに行った話なのかと思ったら、内容は著者が20歳の1974年ごろの話で、しかも1987年に書かれているものを題名を変えて1991年に刊行、そしてまたこの2019年に再刊行したものでありました。でも面白かったです。おばを頼ってアメリカに飛ぶのですが、結局おばのところに泊まることができずモーテル暮らし。でもひょんなことから下着メーカーの仕事をすることになり、そこで出会ったアメリカ人から養子の話まで飛び出すということに…。1974年ごろなんて為替レートどれくらいだったんだろうとちょっと調べたら1971年に固定相場制の360円が終わっても、1974年は300円くらいだったみたいなので、やはり大変な時代だったんだなあと思いました。今の海外旅行とはやはり価値が違うんだろうなあと率直に思いました。


アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。

アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。

  • 作者: 稲垣えみ子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/06/20
  • メディア: 単行本


ネットニュースでこの著者のことは知っていました。元朝日新聞記者で、冷蔵庫のない生活を送り、家電で家にあるものと言えば、電灯、ラジオ、パソコンと携帯電話だけ。奇抜なアフロヘアにした理由や、新聞社を辞めた経緯、電気を使わない生活、お金のない生活を通して見えてくるものなどなど色々書いてありました。シンプルライフとかミニマニズムとか断捨離とかいろいろありますが、確かにものがなくても本当はやっていけるんだよなあと、思いました。私もバックパック一つで旅から戻ったとき、旅をしていた時はそのバックパックに収まる荷物だけで十二分だったのに、生活を始めるとあれもこれもと荷物が増え始めてしまうのだなあと思いました。著者くらいまでそぎ落とさなくても、ちょっとそぎ落としてもいいかもなあと思えました。


世界一しあわせな国 ブータン人の幸福論

世界一しあわせな国 ブータン人の幸福論

  • 作者: 福永正明
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2012/02/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

世界でいちばん幸せな国 ブータンの言葉

世界でいちばん幸せな国 ブータンの言葉

  • 作者: 早乙女 響
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2012/01
  • メディア: 単行本


いつか行ってみたいブータン。その参考に読みました。あくせくしなくてもいいよなあ、のんびりいこうぜ、と思ってしまう本でした。チベット文化圏はやはり心惹かれます。



nice!(11)  コメント(1) 
共通テーマ:

ネパール・チベット珍紀行・叶うことならお百度参りなど [本]

最近、読んでいた本です。


超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

  • 作者: 落合 陽一
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2017/03/18
  • メディア: 単行本


未来への漠然とした不安「何をしたらわからない」という人間たちへ、との文言があります。

この本を読んだからと言ってすることがわかった訳でもなく、まあ良く言われていることが書かれていたなあという感じでした。もちろん、良く言われていることであってもこうやってまとめることはそれなりに大変だとも思いますが。


1・ニッチな世界でトップ・オヴ・トップを目指す。遊びか仕事かわからないほど楽しい仕事をすること。その境目がわからない仕事を。


2・スペシャリストであれ、そして少しだけジェネラリストであれ。知識にフックを少しだけかけておき、少しだけとっかかりがあれば何でも調べればわかる世の中なので、その程度の知識だけで大丈夫。


3・ストレスフリーであること。自分が決めたルールや仕組みにイライラしない。貯金は働かない前提の老後の心配からなるものなので、生涯現役だったら貯金もいらない。自動運転も始まり移動コストも安くなれば都心に住む必要もなくなる。


有能であり、人より抜きんでて仕事が楽しくて仕方がないことが一生涯続き、現役を貫くことができればいいのですが、人生そう簡単でもないところにやはり苦悩があるんだよなあと思いました。また若い時には思いもしなかったことが年を取ってからいろいろ出てきたり、考え方もすっかり変わったりもするわけなので、なかなか大変なんだよ、実際、と冷めて読んでいる自分がいました。



れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2011/05/15
  • メディア: 文庫
働かないの―れんげ荘物語 (ハルキ文庫)

働かないの―れんげ荘物語 (ハルキ文庫)

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/08/07
  • メディア: 文庫
ネコと昼寝―れんげ荘物語

ネコと昼寝―れんげ荘物語

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2017/01/01
  • メディア: 単行本

最近、群よう子さんの本を立て続けに読んでます。読みやすくてあっという間に読めて楽しい。このれんげ荘物語のシリーズに結構はまってしまいました。45歳までOLでバリバリ働いてきたキョウコは仕事を辞め家を出て、アパートれんげ荘で生活を始めます。そして貯金を切り崩し、月に3万円の家賃、7万円の生活費でなんとかやり繰りし生活を送ることにするのです。昔と比べたら生活を切り詰めないといけないけれど意外とのんびりと楽しく生活できていくキョウコ。こういう生き方もひとつの選択です。現に友達が公務員を辞めて、(家は既に買っていますが)この話に近い貯金の切り崩し生活に入っています。れんげ荘に住む他の住民との交流や、友人、そのまた友人、兄の家族との交流、そして実家の母親との確執などが書かれています。群さんご本人が実際に母親との確執があるようなのでそれがこの物語にも反映されています。私は学生の時に母を亡くしてしまい母のことは好きだったので、母親が生きているだけでも羨ましいなあと思ってしまいます。仲がいい親子は早くに親が亡くなり、そうでない親子はいつまでも親が生きているなんて人生皮肉なものだといつも思ってしまいます。


叶うことならお百度参り―チベット聖山巡礼行

叶うことならお百度参り―チベット聖山巡礼行

  • 作者: 渡辺 一枝
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本


渡辺一技さんの本で「チベットを馬で行く」は昔読んだ記憶があるのですが、こちらの本はまだ読んでないと思い読みました。2006年発行ですが、メインは2002年~2003年ごろにチベットカイラスに旅行したことが書かれています。この時既にトータル9回カイラスに行っており、色んなルートでカイラスに入っていて、チベタンのドライバーガイドやコックさんが既に親友になっていて、毎回彼らと3人で何度も出かけ、そして時には旦那さんの椎名誠氏やサックス奏者の渡辺貞夫氏、モンベル社長の辰野勇氏、内科で漢方医の柳澤紘氏と共にでかけてる旅もあります。旅行中具合が悪くなったり、犬にかまれたり、火事を起こしそうになったりと立て続けにアクシデントがあったり、聞く人がいないので道に迷ってしまったり、各地に親しくなったチベタンがいて色んなものを頂いたり、旅行中知り合ったみなしごのチベタンを一時引き受けようかということになったが結局西洋人がやっている孤児院で育てることが決まり、それでも気にかけて毎回そのみなしごの女の子に会いに寄ったり。また旅の最後はラサのジョカンでご本尊の釈迦牟尼物の金泥の塗り直しの寄進をしたりと、いろんな経験が書かれていました。その間、娘さんがニューヨークで結婚、息子さんがサンフランシスコで結婚、孫が生まれ、また夫の椎名誠のことなどが書かれてる部分もあって、椎名誠が奥さんのことを書き、子供のことを書いていた「大きな約束」をちょっと前に読んでたのでまたもリンクして面白かったです。
カイラスには一度は行ってみたいけれど、途中で高山病になって命を落とす人もいるし、後は運と巡り合わせかもな、と思いました。

ネパール・チベット珍紀行 (世界紀冒選書)

ネパール・チベット珍紀行 (世界紀冒選書)

  • 作者: ピーター サマヴィル・ラージ
  • 出版社/メーカー: 心交社
  • 発売日: 1990/05
  • メディア: 単行本

椎名誠が本の中で書いていた「ネパール・チベット珍紀行」を読みました。1985年ごろアイルランド人が2カ月ほどかけて廻ったネパールとチベットの旅。ネパールではヤクの背に乗って、またチベットではヤクはみつからないため馬を借りたりもしますがあまりにも乗り心地が悪いためそうそううまくいきません。

いろんな国の旅行者に会いますが、日本人旅行者も結構出てきます。大人数で山を廻っている日本人、アメリカ人とカップルで廻っている日本人、日本人がエベレストホテルの建設に関わっていたり、カイラスにある宿で同志社大の旅行学の先生(タマムラ・カズヒコとはっきりと名前を明記)がカイラス巡礼に来ている人のポラロイド写真を撮ってそれをあげる代わりにどんな目的で来ているかなど聞き取り調査を行っている様子など描かれていました。当時、香港でビザを取り、でもネパール側からの入国は全員拒否されていて、それでもチベットに行きたい著者たちは中国語のできるひとにビザの脇に加筆してもらい、何とかチベットに入るのです。バスでもトラックでも何でもかんでも通る車と交渉して荷台でも何でも乗せてもらい、埃まみれになりながらラサ、シガツェ、サキャ、ギャンツェ、カイラス、マナサロワールなどに行きます。パスポートの加筆した部分が不正であることがばれたら怖いため、結構公安関係やチェックポイントにビクビクしながらの旅。宿という宿がなかなか汚いのでテントを張り、寒さをしのぎ、食料も手に入れられない場所を行くのでろくなものをお腹に入れることができない旅…。


私も1991年の夏に中国旅行中そのままチベットに入り、ラサとシガツェで過ごしたので、この本はその6年前の話ですが、何となく当時の様子がわかる気がしました。チベットに1か月半くらいいてラサやシガツェのほかあまり他の都市に行かなかったのは、ショトン祭(ヨーグルト祭り)やタンカ(仏教絵画)のご開帳など色んなイベントが目白押しということもありましたが、個人旅行が禁止されているときに何となくスルスルと入ったけれど、パーミットらしいパーミットも取らずに入っていたので(個人旅行者にパーミットは出なかった)あまり動くと厄介なことになるかなあという不安もあったことを私は思い出していました。当時個人でチベット入りしていた旅行者はみんな潜りの旅行者でしたが、帰りの飛行機などは公にちゃんと買えるし(実際私もラサからカトマンドゥに飛んでいます)、一緒にラサ入りした日本人の男の子はがけ崩れの中歩いてネパールに戻ってきていて再会したりもしたし、ラサで会った旅行者の何人かはカイラス行きを狙っていてトラックをチャーターするためにカイラスに行く旅行者を募っていたり、また個人でトラックでもバスでもそちら方向に行くなら何でもこの本の著者たちのように交渉してカイラスを目指している人たちがたくさんいました。そういう様子があっという間に蘇って来ました。簡単に想像がつくけれど(私も短い時間ならペルーや中国、インド、ネパールなどで経験してます)、トラックの荷台ともなると寒いわ、埃はあるわ、痛いわ(道が悪いからあちこち体をぶつける)、そして窮屈だわ(人がわんさと乗っている)で本当に大変だろうなあと思います。そして頭も鼻の穴の中まで、そして体じゅう埃にまみれてもお風呂がないし、あってももらってお湯で体をふく程度だろうし、宿の部屋も決して快適とは言えないだろうし、あとは食事も、ツァンパ(麦こがし、まあおいしいけれど飽きるかも)やバターティ(塩分があるので初めは結構おいしいと思えないがだんだん慣れるとまあおいしくなってくる)、じゃがいも、硬いカビの生えかかったようなパンばかりの食事では、本当に精神力が試されます。


まあそれでも楽しくこの本を読みました。ラサのスノーランドホテル、私も泊まったなあとこれまた懐かしかったです。


nice!(12)  コメント(1) 
共通テーマ:

いろいろあった人へ、消されゆくチベット、おなかがすいたハラペコだ ほか [本]

最近読んだ本です。


いろいろあった人へ 大人の流儀 Best Selection

いろいろあった人へ 大人の流儀 Best Selection

  • 作者: 伊集院 静
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/03/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ベストセラーになったこの本。読みました。女優で奥さんだった夏目雅子さんの死、また17歳で海で亡くなった弟の死、ペットの死のほか、3・11のこと、いろんな死のことそして何かを失くす人生のことを書いています。泣きながらも一気に読みました。生きることに意味を求めるな、生きることの隣に哀切がある、そういう人生だったのだ、無念を握りしめて生きる、忘れることができなくて…いくつかのタイトルをこうして並べてみるだけでも泣けます。たぶん少し前の私だったらこれほど泣いて読むこともなかったこの本。今はまだ父の死から立ち直れていないので、余計にしみるのだと思います。そして共感する箇所を読んでは泣けて泣けて泣けるのです。泣きたいから少しでも泣ける本なら何でもいいのかもしれませんが。


最近、時間が経つというのはこういうこと、年を取るというのはこういうことだとわかるようになり、いろんなものが一つ、二つと欠けていき、世界の見え方が全然違って見えてきている感じがあります。涙もろくもなりました。



消されゆくチベット (集英社新書)

消されゆくチベット (集英社新書)

  • 作者: 渡辺 一枝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/04/17
  • メディア: 新書

椎名誠の本を読んでいて奥さんの渡辺一技さんがチベット好きなのを思い出し、彼女のチベットに関する本で読んでないものを読もうと思いました。この本は2013年に出版された本なので既に6年の時が経っているので今のチベットとはまた違ったものでしょうが、相変わらずチベットが漢族によって支配され言葉の教育も中国語がメインとなり、チベット語を学ぶ機会が無くなっていることがやはり悲しいなあと思いました。もう20年以上前にも既にラサのバルコルには漢族たちが店を並べて、ラサの観光にお金を落としてもすべて漢族たちがその利益をかっさらっていくと言われていましたが、それが更に進んでいるようでした。何でも中国語で事を進めないといけないのはチベットの人には本当に不利だし、賃金格差もあり、焼身自殺も相変わらずあり、きっと今でもパーミットを取らないといけないでしょうし、私がチベットに行った1991年頃と今も何も変わっていないのかもしれません。しかしラサの子供たちが勉強に忙しくて昔のように遊んでる子供たちはいないことは驚きでした。そういう時代に既に入っているのだなあと思いました。また友人の鳥葬の立ち合いのことも書かれていて、前回読んでいた椎名誠の本に書かれたこととリンクしました。カイラスに行きたいなあと私自身当時思っていましたが、車の手配とかが面倒で行かず、でも今でも車手配せずには奥まで行くことができないのは全く変わらず、チベット旅行は未だに簡単にはいかないのだなあと思いました。そういう意味では、何度も通って車をチャーターし食料や水を詰め込み案内人のチベット人を雇い、チベットの奥の奥まで旅して、一般家庭にも泊まらせてもらって友人が亡くなりその子供の学費まで工面している著者は、本当にチベット好きなのだと思います。私もチベットが好きだけれど、そこまでの熱意が今も昔もないなあと思いました。




おなかがすいたハラペコだ。

おなかがすいたハラペコだ。

  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 新日本出版社
  • 発売日: 2015/12/05
  • メディア: 単行本


気軽に読める椎名誠。世界中のおいしい食べ物について。でも最後行き着くところは家のごはん。やっぱりそうだよね、って感じです。


活字たんけん隊――めざせ、面白本の大海 (岩波新書)

活字たんけん隊――めざせ、面白本の大海 (岩波新書)

  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/21
  • メディア: 新書


面白い本を紹介しながらいろんな世界へと誘います。この本は面白本シリーズの第4部完結編らしい。博物館誌のこと、スリッパのこと、地方の面白本のこと、風力発電のこと、動物の腸(うんこ)のこと、カレーのこと、小屋のこと、墓のこと…。紹介された本の中で読んでみたいなあと思ったのは「ネパール・チベット珍紀行」。探してみます。



お金がない! (暮らしの文藝)

お金がない! (暮らしの文藝)

  • 作者: 赤塚不二夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 単行本


編集者がテーマを決めて、たくさんの作家の作品からこれぞというものに絞ってひとつの本にまとめるこのタイプの本を読むのが結構好きです。今回はお金について。群よう子、蛭子能収、中島らも、高野秀行、坂口安吾、水木しげる、寺島修司、瀬戸内寂聴、赤瀬川源平、赤塚不二夫、三谷幸喜、太宰治、酒井順子、杉浦日向子、伊丹十三、新美南吉、星新一など。和田誠のイラストも入ったり、天才バカボンの漫画が入ってたり、時には2段に、そして3段に書かれていたり、ワクが書いてある中に書かれたり、すごろくやら、世界のお金に関する言葉などなど結構自由で楽しかったです。そしてもいろんな作家の読み物がやはり面白かった。高校生の時星新一を良く読んでいましたが、また読みたくなりました。




あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと ひとり暮らしの智恵と技術

あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと ひとり暮らしの智恵と技術

  • 作者: 辰巳 渚
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本


帯がない本だったので大人向けての本かと思ったら、10代位で親元を離れて一人暮らしする人向けの本でした。奇しくも著者は事故で亡くなりこの本が最後の本となり、あとがきには一人暮らしを始めた著者の息子さんがその思いを述べています。大人で普通に暮らす私には特に得るところのない本でしたが、その中でも「辛い時、悲しい時こそ、家事に向き合ってください」という言葉は胸を打ちました。それを実感しているからです。丁寧に家事をすることで辛いことも悲しいことも乗り越えていける気がします。




nice!(11)  コメント(1) 
共通テーマ:
前の5件 | -