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貧困大国アメリカ [本]

最近読んでいた本です。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/01/22
  • メディア: 新書
ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/21
  • メディア: 新書
(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 新書

貧困層は更なる貧困層へ。中間層は貧困層へと転落し、急激に社会は二極化へと進む。1パーセントの富裕層たちが99パーセントの貧困者を食い物にする。そのシステムが社会の中に組み込まれている。


怖い本でした。ジャーナリスト堤未果さんの本は読み応え十分でした。

例えばフードスタンプをもらう貧困層は安い加工食品しか買えないため、ますます肥満となります。そして貧困層が増えれば増えるほど寡占状態の大手何社かが潤い、ぼろもうけををするシステムができあがっています。


医療業界も同じ。保険会社と薬業界のぼろもうけシステム。医療費が高くて払えない人たち、また医療費を払っていても指定された病院と治療しか受けられないことがままあり、一度病気になっただけでローン地獄にはまる人たちがたくさんいます。医師たちもまた効率主義に追い詰められ廃業せずにはいられない医師が出てきています。


世界中のワーキングプアを集めて民営化された戦争が行われていたともいいます。フィリピン、ネパール、インドから良い稼ぎになると集められてい来た人々。しかし実際現地(戦場)に派遣されると医療サービスもなく動物以下の扱いを受け、既に仲介業者に大金を支払ってきているため帰国するにも帰国できません。それぞれの国がアメリカ国防省に訴えても、派遣会社が何層にも複雑になっているためなかなか調査には至らなったといいます。(しかしここの派遣会社の大元は、ブッシュ政権時代の副大統領チェイニーがCEOをしていたハリバートン社であったと本書では言っています)


効率主義と拝金主義が相まって、企業はますます大きくなり、国を越えてグローバル化し、多国籍企業となります。その多国籍企業の1パーセントが残り99パーセントをこれでもかと利益をむしり取るのです。

それはもはや公的事業であるはずのものを民営化することでますますひどくなっています。


ハリケーンカトリーナを襲った貧しい南部地域は学校までが民営化となり、貧しい子供たちが学校に通うことができなくなる事態にまでなりました。経済効率の名のもとに、教育の平等な機会まで奪われました。


刑務所も民営化されています。囚人は入るときから既に借金づけ。訴訟費用や罰金などに加え、法廷手数料やら囚人基金の積立金など様々な請求がなされるという。そして多くの企業が法外な安い賃金で囚人を使い、働かせています。そして多くの利益を得ているのです。


借金づけの人々は囚人だけではありません。学生たちも同じです。学費が高くて払えないため学資ローンを組みますが、どんなに働いても安い賃金ではローンを返済できません。兵士へのリクルートもありますが、これもまた地獄です。十分な学費がでないことが後からわかるため、無理なアルバイトを重ねて結局払えず大学は諦めます。また軍隊に何とかずっと入隊していても、戦地に送られ負傷し、精神的にも病んで帰国することもままあり、軍病院で治療したくても治療は10カ月から1年以上待たされることも多いといいます。


他にも農場が巨額の資金に買い取られ、ほとんどの利益が企業に吸い取られる話。またイラク、インド、アルゼンチン、ハイチの中小農家で行われた遺伝子組み換え食品への転換によって中小農家が苦しくなり自殺にまで追いやられる話。消防署、警察署、公園など公的なものが民営化することでなくなり、世界一危険な街になったデトロイトの話。政治もマスコミもすべて巨大資本に買われてしまい、立法府までも企業の言いなりで法までも企業のいいようになる現状の話など、本当に酷い話がたくさん載っていました。


ただ1パーセントに対して99パーセントも黙ってはいません。ある時大手銀行バンク・オヴ・アメリカから預金を地元の銀行へ移し替えようとフェイスブックで訴えた匿名の人がいて、7万人が賛同し80億ドルものお金が預金先を変えるという運動が展開したといいます。国民の税金で助けられたバンク・オヴ・アメリカが一方的に預金額2万ドル以下の顧客に月額5ドルの使用料を課すということへの抗議であったというのです。また企業献金を一切受け取らない議員候補者を立てたオリーブの木連合は、大企業の政治支配を止めることに一役買ったといいます。


最後の話が少し希望に思えホッとしました。

しかしこの多国籍企業による莫大な富、黙っていても儲かるこの仕組みを何とか解体したい。そのためには上に書いた匿名の人が行ったような、99パーセントの人が一致団結して独占や寡占の企業に対して大いにものを申していくしかないのだなあと思います。

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