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変わったタイプ、ぼくはお金を使わずに生きることにした [本]


変わったタイプ (新潮クレスト・ブックス)

変わったタイプ (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者: トム ハンクス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: 単行本

新聞の書評でとても褒めてあり、あのハリウッド映画の大スターのトム・ハンクスが書いたなんて一体どんな話を書いているのだろうと思って読んだ本。いや、結構素晴らしかった。結構どころでなくかなり素晴らしかった。短編と、脚本のようなものと、新聞のコラムに書かれてるような話を載せ、短編の中にはタイプライターが登場してくるという共通項もあり、タイプライターの写真が話と話の間に挿絵のように使われてもいます。結構粋でおしゃれ。


3週間無理して付き合った女性との話、帰還した兵士のクリスマスの話、端役の役者がパリに取り残され空いた時間をパリ観光に充てる話、祖国を追われた移民がニューヨークに降り立ち新しい仕事を手に入れる話、男と別れた女がタイプライターを手に入れ新たな一歩を始める話、過去へタイムスリップして素敵な女性を見つけ約束の時間までに戻らずにその過去の時代にいる男の話…。

日常の一コマを切り取って丁寧描き、どの話も素敵でその続きが思わず気になるものばかりでした。

オー・ヘンリーほど古めかしくはないけれど、何かそれに近い余韻があって、なかなかやるじゃん!と思えました。


トム・ハンクスはかなりの読書家であり、タイプライターのコレクターとしても知られているとのこと。映画でいろんな役をこなし、仮想の世界を生きその実感があるからこその小説、といったようなことが翻訳した小川氏が書いています。映画の中の役になりきり疑似体験できたからこそ、こんなにもうまくこの小説に表すこともできたとも言えるのかもしれません。本当、感心しました。


哲学の自然 (atプラス叢書03)

哲学の自然 (atプラス叢書03)

  • 作者: 中沢新一
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

久々に中沢新一の本を読みました。同じ哲学者の國分功一郎との対話からなっている本です。3・11後の哲学者のあり方、原発問題をどうとらえるか、人間と自然との関わり方を語っています。人間が「贈与」がなくても生きていける、それが原発とか、ハイデッカーこそ原発の問題を深く考察した最初の哲学者とか、最適解、休暇が大切などなど。最後は小平市の道路計画に住民の意思を反映させること、そこから民主主義を考えることが話題となります。哲学の基礎みたいなものがないので、難しかったです。理解できるところもあるけど理解できないところもたくさん。でもたまにはこういう難しい本も読んで刺激を受けないと。本の中で紹介されてた「ぼくはお金を使わず生きることにした」を読んでみたいなあと思いました。


10年後の仕事図鑑

10年後の仕事図鑑

  • 作者: 堀江 貴文
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/04/05
  • メディア: 単行本


今やAIが従来ある仕事にとって代わろうとする時代。10年後は一体どんな仕事が残っているのかを堀江貴文と落合陽一が語っています。

AIに代わってしまう仕事は何となく予想してたような感じでまとまっていました。高い賃金の仕事、専門性の高い仕事でさえもAIに代わる。もちろん単純作業も。だからこそ、「好きなことに没頭し、仕事になるまで遊びつくす」「好きなことを掛け合わせて100万分の1を目指す(=100人の中で1番になることを3分野探してそれぞれ1番になる)」「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」と本書では言ってます。やりたいことが見つかれば今やクラウドファンディングでも何でも資金を調達して夢を実現できる時代。要はどんなことをしたいのか?ただそれだけなのでしょう。そしてそれを実行に移すこと。お金のこと、日本の幸せと社会についてなど多岐にわたって語ってもいますが、やはり二人とも実業家としても成功しているので発想が並みではないと思いました。


ぼくはお金を使わずに生きることにした

ぼくはお金を使わずに生きることにした

  • 作者: マーク ボイル
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2011/11/26
  • メディア: 単行本

「哲学の自然」の中にあった紹介により実際この本を読んでみました。一年間お金を使わずに生きると宣言し、お金を使わずに盛大にパーティーを開くことを計画して、見事パーティも成功させ、その後実際にお金を使わない生活に入った著者はイギリスのマスコミにも大きく取り上げられ、一時は時の人となったようです。

イギリスに住む29歳のアイルランド人の男性が、不用品で手に入れたトレーラーハウスに住み、食料採集をして手作りのロケットストーブで調理。キノコで紙とインクを作ったり、天然の石鹸サボンソウを使ったり、花粉症対策に西洋オオバコを使ったり、リンゴ酒を作ったり。またただでものを手に入れる方法をいろいろ駆使し、本にはただの宿泊、ただのファッションなど色々なヒントも載っています。

そして究極のところは人とのつながりがとっても大切だと。人とのつながりによってそれぞれが持つものをシェアしてお金を介在させずとも生きていける世界の豊かさを謳っています。本の著作料などお金が入ったにも関わらず、一年が経ったあともしばらくお金を使わない生活を続けているようです。そのお金はお金が介在しないコミュニティを作るための土地購入することに充てたとか。そこではお金を介在させずに学びあう場所を提供しているようです。

彼の実験は一年間だけだったけれど(実際はその後も続いているみたいですが)世界には彼の上を行く人がいるみたいで、お金を使わずにもうすでに何十年も生きているドイツ人女性のことなども書いてあり、世界は広いなあと思いました。お金を全く使わない生活はちょっと途方もないですが、少しだけ自分で作ってみたり、人から譲り受けてみたり、その結果としてお金やものの節約ができたらいいなあと思うのでした。



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つれづれノート35、そうだ魔法使いになろう!、この先には、何がある? [本]


出店にトライ! つれづれノート35 (角川文庫)

出店にトライ! つれづれノート35 (角川文庫)

  • 作者: 銀色 夏生
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫

東京ではプールと仕事。宮崎に戻っては庭作りと今回は地元の市(いち)に店を出してみることを目標に動き出す。銀色さんのいつものつれづれですが、サクくんはもう20歳の成人式を迎え、カンちゃんは既に家を出ているのであまり出てこなくなり時の流れを感じました。今回は武田教授(武田邦彦氏)のネットブログに共感して何度も武田氏のことが出てきました。私も一時3・11のときに武田氏のブログを読んでましたが、また読み始めようかなあ。つれづれノートは私に取っては癒しだなあといつも思います。


文学2019

文学2019

  • 作者: 多和田 葉子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/04/25
  • メディア: 単行本

村上春樹の作品が入っているということで、読みました。2018年刊行の全文芸誌掲載作品から選び抜かれた極上の15作ということで、その1作が村上春樹の「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」。

結構短めのものでしたが、久々の村上作品に大満足。私は彼の文章がやはり好きだし、話の展開とかも大好きなのだと思いました。何だか本当の話なのかはたまたやはり虚構であるのかわからない話になっていて楽しめました。同じような時期に東京新聞に村上春樹へのインタビュー記事が何日か続いて載っていて、タイムリーでもありこれもまた楽しかったです。


そうだ 魔法使いになろう! : 望む豊かさを手に入れる

そうだ 魔法使いになろう! : 望む豊かさを手に入れる

  • 作者: 吉本ばなな
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/03/23
  • メディア: 単行本

精神世界の話を、吉本ばななと大野百合子の二人がおしゃべりをしている対話形式の本であっという間に読みました。前世、ダライラマ14世、チベット、伊勢白山道、バシャール、ホ・オポノポノ、宇宙人、夢、アカシックレコード、カルロス・カスタネダなどお馴染の色んなワードが出てきて、吉本ばななが350回以上転生し、チベットのお坊さんの影響がとっても大きく、二人ともチベット時代が共通しているとかで仲がいいそのままに会話が進んでいました。伊勢白山道さんのブログは私も結構読んでいますが、伊勢白山道に吉本ばななが「卑弥呼のお付きの人という名目だけど、本当は卑弥呼の役をしていた生まれ変わり」と言われたそう。何かすごい。そして吉本ばななにはいろんなものが見えたり、感じたり、そういった能力が小さい時からあることに驚かされました。

この本を読んで私も色々思うことがありました。私自身もチベットに前世があることを確信しているので(水色とピンクが小さい時から大好きでそれはチベットに行ったときに娘さんが使っている髪の飾りひもや既婚女性のエプロンの色だと直感でわかり、また実際前世を一度だけ見てもらったことがあり、やはり前世はチベットと言われました)、だからこそ前世が同じチベットということで吉本ばななに惹かれるのも無理はないかなあと思いました。そしてダライラマ14世に謁見して握手をし、何週間かに渡ってダラムサラで説法を聞けたのも、前世からのつながりがあったからではないかと思うのです。何よりチベットが好きだし。私も夢を見ることが多く(最近はあまり見ない)結構その夢が何かを暗示することが多くて、一時期は夢日記みたいな感じで日記に書き記していました。現実を言い当てているので本当に侮れないのです。夢はあまり見なくなったとはいえ、父が亡くなる前後に何回か、夢の中で何かが私を守ってくれている夢を見続け、それによって私は大きな安心感みたいなものを得ました。何があっても大丈夫だと、言われている感じがしました。父が亡くなって半年くらいは父の夢を数回見てます。ちょっと切れ気味に怒っている父、あと日常の何気ない感じの父、無言の父といろいろでした。今は何も見ませんが、一周忌も終えて安心してくれているんじゃないかなと思います。


久々に読んだ精神世界の本でしたが、いろいろ思いを巡らせました。気軽に読めて楽しかったです。


追記:この記事を書いた翌日、父の夢を久々に見ました。普通に一緒にリビングにいて何故か出羽三山の話をしてました。普通の日常がすぐそこにあり、心から安心しきっていて幸せな気分が残りました。夢の中で父が生きてたっけ?と思い、もしかしたらこれは夢?と思ったら夢は終わり起きてしまいました。いい夢を見てる時はこれは夢?と思わないほうがいいかもなあと思いました。


極上の孤独 (幻冬舎新書)

極上の孤独 (幻冬舎新書)

  • 作者: 下重 暁子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/03/27
  • メディア: 新書


ベストセラーになったという「極上の孤独」ですが、この著者は強いなあと思いました。群れることなく自分の思った道を一人で突き進んでいくのだ、といった感じです。一人の時間を持つことはとても大切で、その時間を取ることで何が自分にとって大切なのかがわかるということはその通り。でももうそんなにこの人の書いた本は読まなくてもいいかなあと思いました。弱くてどうしようもない人にはこの本は救いには全くなりません。一人で生きていく覚悟みたいなものがはっきりしていて、それができない私みたいなものはいったいどうすればいいの?って感じです。覚悟がなくても生きていかないといけないんですけどね。そして実際何とか生きているのですが。確かにごぜという目の見えない女芸人の話などは、その人生の過酷さを容易に想像させてくれ、五体満足で生きている人たちはそれだけでも感謝しないといけない、と思いましたが、厳しすぎて突き放された感じの読後感でした。



この先には、何がある?

この先には、何がある?

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/02/07
  • メディア: 単行本


群さんの半生を自ら振り返りつつ、その当時のこと、気になったことなど、赤裸々に書いています。私自身は、かもめ食堂の映画の試写会に行ったとき、その出演者や映画監督と共に、群さんを初めて見て、壇上にいる皆がとっても仲良しだということが終始感じられ、これほど素敵な舞台挨拶はないなあと思いました。そして後から読んだ原作がこれほど映画とピッタリ来て、しかも映画も原作も私の大のお気に入りになるとは思いもしませんでした。今となってはとってもいい思い出。かもめ食堂では群さんの懐に相当の額のお金が入ってきたようで、羨ましい限りだなあと思いました。

最近いろんな作家の作品を集めたアンソロジー本を私も読むことがありますが、作家の許可も取らず著作権の何たるかも知らずにいる出版社の人たちがいることに激怒してそれなりの行動に出た群さんの心情を綴っていました。また母や弟との確執、母の家のためのローンで一生働かなくてはいけない羽目になってしまったこと、盗作事件なんかも綴っていて、結構いろいろあるんだなあと思いました。群さんが椎名誠氏と繋がっていたのは何かで(たぶん群さんの本だろうけど)読んで知っていましたが、よくしてもらったとだけ書かれていました。


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極夜行前 [本]


極夜行前

極夜行前

  • 作者: 角幡 唯介
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 単行本

「極夜行」に続いて、その極夜行の冒険する前の準備段階を書いた「極夜行前」を読みました。

角幡さんの文章はやはり引き付けられ、一年ぶりに読んだ彼の文章はやはり好きだなあと思いました。もっといろいろと出版してほしいと思ってしまいました。


本番の「極夜行」もすごかったけれど、準備段階にある「極夜行前」もなかなかすごかったし、角幡節全開で楽しかったです。食料や燃料の備蓄のデポも自分で運んで用意する。GPSを使わない、その代り昔ながらの天測による方法を身につけ、つまりは六分機を使えるように専門家のところに足を運びいろいろ教えてもらい、自分でも試行錯誤しながらマスターする。犬との旅を決行する。白クマよりも恐ろしいセイウチの恐ろしさを身を持って体験したり、氷が道を阻んでカヤックで移動ができずその時を待つ経験を積んだり、ジャコウウシ、そして主にウサギを標的として銃で狙い食料にするその腕を磨いたり、アッパリアス(鳥)を仕留めて干物に加工したり、修理しやすい木材を選び自らそりを作ったり、イグルー(かまくら)を習って作ったり…。準備段階からすべて自らがより深く関わっての本番への冒険へと続く感じがよくわかりました。こういった準備なしにはやはりとてもでないけれどこんな大冒険はできないでしょう。イギリスの探検隊が残したデポがグラノーラバーくらいしかなくてさすがイギリス人の食事だとガッカリしたり、寝ている間にそりが流され水の中に入ってそりを回収に行くときウエットスーツの社会の窓が開けっぱなしで、下半身までびしょびしょになった等、結構笑ってしまうエピソードがありました。本当は相当な危機な場面なのですが。


この準備段階で、自分がやりたいことが最果ての場所への冒険であると確認し、はっきりしなかったルートも決まり、色んな人のお陰もあり準備万端となって何とか本番へとそのまま行きそうでしたが、グリーンランドのビザ切れで、一年間もの間を開けなければならない羽目になるというのが、また最後の落ちでした。


何だか人生ってこんな感じだなあと思いました。真剣に物事を始めたら次から次へとやらなければならない問題が出てきて、でもその間に協力者が現れ、必要な情報なりなんなりを与えてくれる。それはまるでそちらへと導いてくれるように。自分の目的も漠然としていたものからはっきりとしたものが見えてくる。それでも時には順調にいかず横やりが入る。人生そのもの。本当に面白かったです。


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吹上奇譚 神様のお恵み 冥途のお客 [本]

最近読んでいた本です。


吹上奇譚 第二話 どんぶり

吹上奇譚 第二話 どんぶり

  • 作者: 吉本 ばなな
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 単行本

オカルトっぽいホラーっぽい要素が入った話。著者はこういう話を書くのが夢だったみたいだけど、私にはちょっと不満。こんな要素はいらないなあと思った。このシリーズ続くんだろうか?でも彼女の作品に共通する気持ちが優しくなれる雰囲気みたいなものは失われてはいなかった。今回の作品でちょっと違和感を感じたけれど、それでもまた読み続けるんだろうなあ、吉本ばななを。



神さまのお恵み

神さまのお恵み

  • 作者: 佐藤 愛子
  • 出版社/メーカー: 青志社
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 単行本
冥途のお客

冥途のお客

  • 作者: 佐藤 愛子
  • 出版社/メーカー: 青志社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 単行本

楽天道

楽天道

  • 作者: 佐藤愛子
  • 出版社/メーカー: 海竜社
  • 発売日: 2018/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

それぞれに発売されたのが去年なので佐藤愛子の新刊なのだと思ったら違いました。それぞれ15年前、26年前、9年前に既に刊行されたものを復刊したものでありました。内容は上2冊が幽霊の話にまつわることで、まだそんなに売れていなかった江原啓之や美輪明宏に佐藤愛子が相談したりして、また亡くなった遠藤周作が出てきたりします。江原啓之と佐藤愛子が電話中に、亡くなっている遠藤周作が佐藤愛子の家に現れ、生前二人の間で早く死んだ人はあの世が本当にあるのかないのかを生きているものに知らせるという約束をしていたのですが、早く死んだ遠藤周作が佐藤愛子に本当にあの世はあったと、江原啓之を通じて伝えてきたのです。何だかとっても楽しくなるエピソードでした。実は私も母と同じような約束をしたことがあり、母はもう30年以上も前に亡くなっていますが、それを知らせには全然来てくれていないなあと思い出しました。でもやはり江原啓之のような人が身近にいない限りはそれを知ることは難しいのかもしれません。

また沖縄グラスの中に入っていた悪霊のために具合が悪くなる話が出てくるのですが、沖縄グラスは昔のガラスを砕いて再利用するために戦時中のものも紛れていることもあるそうです。私もいつだったかとってもきれいな沖縄グラスの器を頂いたのですが、1回使っただけですぐに壊してしまい大変もったいないことをしたと思っていたのですが、もしかしたら却ってそれが良かったのかもなあと思ったりしました。


一番下の本は、佐藤愛子が50歳ごろから70歳ごろに書いたエッセイを編集者がまとめたもので、負けん気の強い佐藤愛子節が読み取れます。

年配者向けを意識してなのか、本の活字がとっても大きくてそれぞれあっという間に読めてしまいました。

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貧困大国アメリカ [本]

最近読んでいた本です。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/01/22
  • メディア: 新書
ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/01/21
  • メディア: 新書
(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 新書

貧困層は更なる貧困層へ。中間層は貧困層へと転落し、急激に社会は二極化へと進む。1パーセントの富裕層たちが99パーセントの貧困者を食い物にする。そのシステムが社会の中に組み込まれている。


怖い本でした。ジャーナリスト堤未果さんの本は読み応え十分でした。

例えばフードスタンプをもらう貧困層は安い加工食品しか買えないため、ますます肥満となります。そして貧困層が増えれば増えるほど寡占状態の大手何社かが潤い、ぼろもうけををするシステムができあがっています。


医療業界も同じ。保険会社と薬業界のぼろもうけシステム。医療費が高くて払えない人たち、また医療費を払っていても指定された病院と治療しか受けられないことがままあり、一度病気になっただけでローン地獄にはまる人たちがたくさんいます。医師たちもまた効率主義に追い詰められ廃業せずにはいられない医師が出てきています。


世界中のワーキングプアを集めて民営化された戦争が行われていたともいいます。フィリピン、ネパール、インドから良い稼ぎになると集められてい来た人々。しかし実際現地(戦場)に派遣されると医療サービスもなく動物以下の扱いを受け、既に仲介業者に大金を支払ってきているため帰国するにも帰国できません。それぞれの国がアメリカ国防省に訴えても、派遣会社が何層にも複雑になっているためなかなか調査には至らなったといいます。(しかしここの派遣会社の大元は、ブッシュ政権時代の副大統領チェイニーがCEOをしていたハリバートン社であったと本書では言っています)


効率主義と拝金主義が相まって、企業はますます大きくなり、国を越えてグローバル化し、多国籍企業となります。その多国籍企業の1パーセントが残り99パーセントをこれでもかと利益をむしり取るのです。

それはもはや公的事業であるはずのものを民営化することでますますひどくなっています。


ハリケーンカトリーナを襲った貧しい南部地域は学校までが民営化となり、貧しい子供たちが学校に通うことができなくなる事態にまでなりました。経済効率の名のもとに、教育の平等な機会まで奪われました。


刑務所も民営化されています。囚人は入るときから既に借金づけ。訴訟費用や罰金などに加え、法廷手数料やら囚人基金の積立金など様々な請求がなされるという。そして多くの企業が法外な安い賃金で囚人を使い、働かせています。そして多くの利益を得ているのです。


借金づけの人々は囚人だけではありません。学生たちも同じです。学費が高くて払えないため学資ローンを組みますが、どんなに働いても安い賃金ではローンを返済できません。兵士へのリクルートもありますが、これもまた地獄です。十分な学費がでないことが後からわかるため、無理なアルバイトを重ねて結局払えず大学は諦めます。また軍隊に何とかずっと入隊していても、戦地に送られ負傷し、精神的にも病んで帰国することもままあり、軍病院で治療したくても治療は10カ月から1年以上待たされることも多いといいます。


他にも農場が巨額の資金に買い取られ、ほとんどの利益が企業に吸い取られる話。またイラク、インド、アルゼンチン、ハイチの中小農家で行われた遺伝子組み換え食品への転換によって中小農家が苦しくなり自殺にまで追いやられる話。消防署、警察署、公園など公的なものが民営化することでなくなり、世界一危険な街になったデトロイトの話。政治もマスコミもすべて巨大資本に買われてしまい、立法府までも企業の言いなりで法までも企業のいいようになる現状の話など、本当に酷い話がたくさん載っていました。


ただ1パーセントに対して99パーセントも黙ってはいません。ある時大手銀行バンク・オヴ・アメリカから預金を地元の銀行へ移し替えようとフェイスブックで訴えた匿名の人がいて、7万人が賛同し80億ドルものお金が預金先を変えるという運動が展開したといいます。国民の税金で助けられたバンク・オヴ・アメリカが一方的に預金額2万ドル以下の顧客に月額5ドルの使用料を課すということへの抗議であったというのです。また企業献金を一切受け取らない議員候補者を立てたオリーブの木連合は、大企業の政治支配を止めることに一役買ったといいます。


最後の話が少し希望に思えホッとしました。

しかしこの多国籍企業による莫大な富、黙っていても儲かるこの仕組みを何とか解体したい。そのためには上に書いた匿名の人が行ったような、99パーセントの人が一致団結して独占や寡占の企業に対して大いにものを申していくしかないのだなあと思います。

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